石垣島 川平
夜光貝 Y's studio
夜光貝に対する耐えない熱意。
日々進化を続ける、
日本最南端の夜光貝削り人。
豊かな自然が広がる日本の最南端、石垣島。
夜光貝の削り人として活動する笹森由貴夫氏は、
川平湾にほど近い自身のアトリエ「夜光貝Y's studio」で
手作りの夜光貝アクセサリーを制作する。
原材料の夜光貝は、
サザエと同じリュウテン属に分類される巻き貝の仲間。
笹森氏は地元の漁師から直接仕入れを行っている。
届く貝は形や大きさに個体差があるが、
長年培ってきた感覚で可能な限り貝殻を余すことのないよう
匠に計算し削り出しを行う。
貝はまずサンダーである程度の成形を行う。
洗練された削りでみるみるモチーフが浮かび上がる様は、まさに職人技。
大体の形となったパーツは次にリューターのビットを使い分け、エッジの微調整を終えた後仕上げの研磨を行う。
最後の仕上げとなる研磨は手作業となる。
手で丹念に磨き上げることにより、
機械では表現できない滑らかな光沢が出るという。
笹森氏の作品で特に特徴的なものは、
細かな透かしが入ったモチーフ。
エッジの美しさを出すため、
細身のドリルで加工部分に穴を空けたのち、
糸鋸を通して根気よく手作業で穴を広げる。
機械で削った場合エッジが丸くなり際立たないため、
手間がかかるがあえて糸鋸を使用している。
夜光貝の加工を手掛ける作家の中でも、
繊細な透かしを表現する技術は笹森氏ならではの技。
開業当初から大切に保管しつづけているデザインの台紙は、
日々描き直しを行いアップデートを重ねてきた笹森氏の財産。
ほぼ独学で磨いてきたデザインは川平の自然から着想を得たものや、海外アーティストの作品を基にしたデザインなど多種に渡る。
また、工房に訪れる来店客が身につけているアクセサリーからもインスピレーションを得るなど、デザインに対しての飽くなき探究心が伺える。
店舗は川平湾と石垣市内に二店舗構える。
2023年にオープンした「夜光貝Y's studio〜Next Stage〜」は、
市内中心部のアーケード
「ユーグレナモール」裏手に位置しており、
観光で訪れた際も気軽に足を運び夜光貝の魅力に浸れる。
本州においては定期的に開催される催事
「ハンドメイドマルシェ」にも出店し、活動の場を広げる。
夜光貝に対する情熱と技術。
笹森氏が表現する夜光貝の世界を、
かさねあわせも伝えていきたい。